2009-06-09

インタビュー「私のフランス」
by フランス観光開発機構

私はパリに12年ほど暮らしていたことがあり、自他とも認める「フランス好き」。
先日、東京ミッドタウンで行われたショコラのトークイベントでは、ナビゲーターとして毎回ひとりのショコラティエ&パティシエをゲストにお迎えしたのですが、ゲスト7人中4人がフランス在住でした。そのため話題は必然的にパリやフランスのことが多くなり、おかげさまで東京に居ながらフランスの甘い香りに包まれた数日間を過ごすことができました。
パリ暮らしをしていたときも、そして東京に移り住んだ今も、パリやフランスの地方へはよく出かけます。私の海外旅行の行き先は、圧倒的にフランスが多いこともあり、フランス各地25都市以上は訪れたことがあると思います。

[リヨン]
昨年のリヨンへの旅は、フランスの地方都市の美しさと食の深さをあらためて実感した旅でした。投宿したホテル「ヴィラ・フロランティーヌ」では、部屋やレストランからリヨンの旧市街が一望でき、太陽の光で微妙に変化する赤屋根の街並の美しさに心から感動しました。いつまで見ていても飽きることのない光景でした。

フランスの偉大な料理人ポール・ボキューズ氏とも再会しました。二十年ほど前に、私が初めてフランスでインタビューをしたグランシェフです。当時はラブレーの小説に登場する巨人ガルガンチュアを連想してしまうほどの存在感でした。年月を経た今もその風貌からは、人間味、温かさ、ふところの深さが感じられ、料理からはいつも変わらぬフランスの食の豊かさや気前の良さがじんわりと胸に響きます。
レストランのショコラは愛娘の嫁ぎ先でもあるショコラ専門店「ショコラティエ ベルナシオン」で作られています。「ショコラティエ ベルナシオン」では、ボキューズ氏と彼の孫たち(「ベルナシオン」の三代目)と一緒にさまざまなショコラを堪能(写真)しました。濃厚なショコラショー(ホットチョコレート)は満面に笑みをたたえる味わいでした。ここでは今も昔と変わらずショコラをカカオ豆から作っていますし、コンフィズリー(砂糖菓子)などもすべて手づくりです。ショコラ研究家としては、リヨンで絶対に立ち寄りたい専門店です。
リヨンでは、他にも「ジョルジュ・ブラン」、「アラン・シャペル」、「ラ・ピラミッド」、「メゾン・トワグロ」、「ニコラ・ル・ベック」といった老舗から気鋭の若手シェフのレストランまでを網羅。それぞれが独自の料理を展開している刺激的な土地柄であることに興奮しました。さらに食の生産者たちを訪ね歩くという、おいしい取材旅行でした。
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フランスは地方によって多彩な郷土色に触れることができるのも楽しみのひとつです。
どの地方や都市を訪れても新たな発見と魅力に満ちあふれていて、ひとつだけを選ぶなんて正直言って私には至難の業。訪れたすべての場所に忘れがたい想い出があり、それらを語ることはきっと私の人生を語ることでもあるのです。
文豪ヘミングウエイは著書『移動祝祭日』の中で、「フランスに暮らした者は一生フランスがついてまわることだろう」と書いています。私も帰国してからこの言葉をますます身近に感じています。これからもフランスとは一生おつきあいしていきたいと思っています。
[ニース]
ニースでも愉しい想い出が沢山あります。この街の旧市街のサレヤ広場(Cours Saleya)に立つサレヤ市場(Marche du Cours Saleya)で、フランスのマルシェの愉しさを再発見しました。指南してもらったのは私の大好きなシェフのひとりでニースに暮らす、モナコの「ル・ルイ・キャーンズ、アラン・デュカス」のシェフ、フランク・セルッティです。
セルッティはレストランの買い出しのために、週末の朝7時にサレヤ市場に出かけるのが長年の日課なのです。というのも週末だけ店を出す何軒かの農家たちがいるから。彼らはきわめて質の高い農作物を取り扱っているのだそうです。私はそのうちの1軒でフレッシュな「ティオル」の花付きの葉を購入しました。「ティオル」とは菩提樹のことで、ハーブティーにするととても美味。フレッシュなものは見た目もとても可愛く、それまで乾燥したものしか知らなかったのでとても感激しました。
「ティオル」は滞在していたホテルの部屋で包み紙の上に広げて、愛情を注ぎながら二日間ほど乾燥させて日本に持ち帰りました。家に訪問客があると、この時に手づくり(?)した「ティオル」をガラスのポットに入れてハーブティーとしてお出しするととても喜んでもらえます。ほんとうに可愛くてやさしい味わいです。
あとフロマージュに添えると、舌がとろけそうなほどおいしい栗の木のハチミツを二瓶、魚料理用のハーブなど、出国の前にスーツケースに収めるのが大変になるほどたくさんのお買い物をしてしまいました。
[ランス]
十数年のパリ暮らしで、なにかにつけて理由を考えだし、お祭り気分でシャンパーニュを開けるという享楽的な習慣を身につけてしまいました。そんなワケでシャンパーニュのメッカ、ランスは私にとって夢のような街です。ランスではシャトー・レ・クレイエールと、ラシェット・シャンプノワーズに、それぞれ1泊ずつしました。
シャトー・レ・クレイエールは、プティシャトーの佇まいです。バーではクリュッグ、サロンなど、数種類のシャンパーニュが氷の詰まったワゴンで冷やされ、出番を待ち構えていた様子が今も目に浮かびます。素晴らしい庭、建築、インテリア、シェフのディディエ・エレナの繊細かつ大胆な料理、デザート、それに合わせて出されるシャンパーニュ、食後のショコラ、なにもかも夢心地でいただきました。
ラシェット・シャンプノワーズは家族的なサービスと、シャンパーニュとのマリアージュを考えて作られる二代目シェフ、アルノー・ラルマンの独創性あふれる斬新な料理が魅力です。 
[ルーアン]
ルーアン大聖堂の美しさは一見の価値あり。モネがあれほどたくさん大聖堂をモチーフにした連作を遺した訳です。モネがこの連作を描くためにアトリエに使っていた場所から大聖堂を眺めると感嘆の声をあげずにいられません。ルーアン美術館の印象派を始めとする所蔵品の充実度にも驚きました。街で偶然見つけた地元の人たちに大人気のレストラン「ジル」では、温かさと誠実さのあふれる料理に舌鼓をうちました。

[リヨン]
手提げの紙袋一袋分のベルナシオンのショコラ
[ニース]
フレッシュなティオル、多種多様のハーブ、ハチミツ、オリーブオイル、ポプリ…など。
[ランス]
シャトー・レ・クレイエールと、ラシェット・シャンプノワーズのショコラとコンフィズリー。
[ルーアン]
ルーアン美術館のミュージアムショップで、中世のタピスリーの復刻版で作られたポーチを購入。

フランス観光開発機構ホームページより
(インタビュー構成 :フランス観光開発機構 )


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